yenoniwa’s blog

心に残った表現を書き留めています

2023-01-01から1年間の記事一覧

第七頁 一筋の糸

本を開いては、求めているものがそこにない苦しさで、本棚に戻す時間が長かった。あれほど様々なことを語りかけてきたはずの言葉が、一番語りかけてほしい時に黙していた。唱えても唱えても、護身の魔法の効力は、するりと身から離れてしまう。何を支えに苦…

第六頁 

若々しさとは、熱した鉄のようなもので、触れたら火傷をするほど輝いている。その鉄を鍛えていく時間が私には突然訪れた。焼かれるような痛みを常に伴ったけれども、若さの熱を冷ます以外の道がなかった。それが「うつ」という病気の時間だったと思う。 今、…