本を開いては、求めているものがそこにない苦しさで、本棚に戻す時間が長かった。あれほど様々なことを語りかけてきたはずの言葉が、一番語りかけてほしい時に黙していた。唱えても唱えても、護身の魔法の効力は、するりと身から離れてしまう。何を支えに苦…
若々しさとは、熱した鉄のようなもので、触れたら火傷をするほど輝いている。その鉄を鍛えていく時間が私には突然訪れた。焼かれるような痛みを常に伴ったけれども、若さの熱を冷ます以外の道がなかった。それが「うつ」という病気の時間だったと思う。 今、…
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